町中でよく見るジムニー(JB23)とパジェロミニ(H53/58A)。これらはリアを見比べてみるとパッと見で区別をつけるのは難しいでしょう。似てるってことは性能も同じなの?と疑問を持たれている方も多いかと思います。しかし、実際中身は全くの別物です。
よく比較されるジムニーJB23とパジェロミニの2つのスペックを比較、考察してみます。比較の際に使用するデータはジムニーはJB23、パジェロミニはH53/58A型とします。
*この記事はただの2つの車のスペックを挙げ、それを基に考察しているまでです。何を読み取っていただけるかは読者次第ですのでその点ご了承ください。基本スペック
両車の基本スペックを挙げてみます。出展元はwikipediaです。パジェロミニは3タイプのエンジンがありましたが、K6Aに一番近そうな4A30TwinTを挙げました。詳細はwikipediaをご覧ください。
ジムニーの基本スペック

販売期間 | 1998年- |
---|---|
乗車定員 | 4人 |
エンジン | K6A直3 DOHC ICターボ 出力:64ps/6500rpm トルク:10.8kg/m/3500rpm |
駆動 | FR/パートタイム4WD |
変速機 | 5MT/4AT |
重量 | 970kg-1,000kg |
パジェロミニの基本スペック

販売期間 | 1998年10月 - 2013年1月 |
---|---|
乗車定員 | 4人 |
エンジン | 4A30TwinT 直4 DOHC20バルブICツインスクロールターボ 出力:64ps/7,000rpm トルク:10.2kg・m/3,000rpm |
駆動 | FR/イージーセレクト4WD |
変速機 | 5MT/4AT |
重量 | 850kg - 990kg |
基本スペック上では2台とも特出すべき差は殆どありません。しいて言うならば、エンジンはジムニーは高回転域に強く、パジェロミニはツインスクロールターボによって低回転域が強くなっています。ジムニーよりパジェロミニの方が車体が若干軽い場合があります。販売期間は販売開始はジムニーとパジェロミニ共に1998年と同じ年ですが、パジェロミニは2013年1月に販売終了しています。
パジェロミニはエコカー減税に非対応という点で売り上げが最盛期の1/10になっていたとwikipediaにはありますが、エコカー減税非対応なのはジムニーも同じです。それなのにもジムニーが売り上げを伸ばし続けているのには構造の違いが大きいかと思われます。
ボディ構造/フレーム
ジムニー
ラダーフレームを採用。

ラダーフレームとは梯子型の構造をしており、製作と強度の確保が容易なフレーム構造です。ジムニーはボディと堅牢なフレームを一体化せずに組まれているため、非常に頑丈な作りです。
パジェロミニ
ビルトインラダーフレームを採用。

ボディにラダーフレームを溶接して一体化してしまうフレーム構造です。強度はモノコックフレームに勝りますが、ラダーフレームよりは劣る場合があります。オンロードの場合、ラダーフレームより振動が少なく乗り心地は良好です。
サスペンション
パジェロミニのサスペンション
フロントは独立懸架ストラット式、リアは5リンク式コイルスプリングを採用しています。

リンクリジット(車軸懸架式/リジッドアクスル)のサスペンションは片方の車輪が段差に乗った場合、車軸がシーソーのように傾き、もう片方のタイヤが強く接地するという働きをします。これにより悪路でのトラクションの確保と車体の腹打ちを防ぐことが出来ます。しかし、片輪の振動をシャフトを伝わりダイレクトで受けてしまう為、乗り心地は悪くなります。


独立懸架ストラット式のサスペンションは左右の車軸が直結しておらず、独立して動くのでショックを吸収しやすくなっています。しかし、リンク式のように強力な接地力はありません。乗り心地はリンクリジットより独立懸架ストラット式の方が勝りますが、悪路走破性はリンクリジットの方が優れます。
ジムニーは前後リンクリジットに対し、パジェロミニは前だけ独立懸架ストラット式を採用したことにより、乗り心地はジムニーよりマイルドになっています。
ギア比
ジムニーとパジェロミニのギア比とノーマルタイヤ時の車速とエンジン回転数の対応を挙げてみます。
ジムニーのギア比
- 5.106
- 3.017
- 1.908
- 1.264
- 1.000
- ファイナル: 4.300
4速:40km/hの回転数2200rpm
5速:60km/hの回転数2600rpm
5速:100km/hの回転数4350rpm
パジェロミニのギア比
- 4.200
- 2.450
- 1.524
- 1.000
- 0.807
- ファイナル: 5.625
4速:40km/hの回転数2210rpm
5速:60km/hの回転数2680rpm
5速:100km/hの回転数4460rpm
ノーマルタイヤ口径はパジェロミニの方が1インチ小さく、ギア比はパジェロミニの方がファイナルが大きめというのもあり、パジェロミニの方がエンジン回転がほんの少し高めになっています。
まとめ
ジムニーとパジェミの大きく違う点
- パジェミは後ろだけリジットサスペンション。ジムニーは前後リジットサスペンション
- 悪路のトラクション・悪路走破性は前後ともにリジットサスペンションを搭載しているジムニーが勝る。
乗り心地は前に独立懸架式サスペンションを搭載しているパジェミが勝る。アラインメントの変化はリジットの方が少ない。 - パジェミはビルトインラダーフレーム。ジムニーはラダーフレーム。
- フレームの強度はジムニーが勝る。モノコックに近いため振動が少なくパジェミの方が乗り心地がいい。
ちなみにパジェミは4気筒なので3気筒のジムニーのエンジンより振動が少ないかもしれません。 - パジェミは低回転域が強い。ジムニーは高回転域が強い。
- パジェミはツインスクロールターボにより低域からトルクが太い。ジムニーは単純なシングルターボの為、高域が強い。
- パジェミは価格が安い。ジムニーは高い。
- カーセンサーによるとパジェミの中古車の一番多い価格帯は15~30万円(記事執筆時)に対してジムニーの中古車は45~60万円(記事執筆時)。
ちなみにジムニーの新車で10型ランドベンチャーとなると160万。自動ブレーキなどのハイテク装備を搭載していないのにも関わらず軽とは思えない高価格。
走行性能の違い
- オンロードではパジェミの方が乗り心地が良い。
- オフロードではジムニーの方が走破性がある。
ジムニーは本格的なオフロード仕様ですが、それに対しパジェミはややマイルドにしてオンロード性能を上げたような印象です。ジムニーとパジェロミニは形はそっくりですが、中身は根本的に異なります。ジムニーにはランクル70や日産サファリや昔のJeepの様なゴツさがあります。本格的なオフロードを求めているのであれば構造的にジムニー一択です。ジムニー、パジェロ両車ともエコカー減税に対応しておらず、自動ブレーキなどのハイテク安全装置などはついていません。そのため乗用車として選ぶ方は少ないかと思いますが、乗用するのであればパジェミの方が良いかもしれません。しかし4WDを購入するということは...
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